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スペイン発【ECOALF エコアルフ】とは?海のごみから生まれたサステナブル・ファッションブランド

スペインのサステナブル・ファッションブランド「エコアルフ」

スペイン発のサステナブル・ファッションブランド「ECOALF/エコアルフ」が2020年日本上陸。海から採取したゴミから再生した素材で衣服や雑貨を製造しています。これから注目のブランド「ECOALF/エコアルフ」について紹介します。

 

エコアルフ(ECOALF)とは? 

「Because there is no planet B(地球に替わる惑星はないのだから)」。これはリサイクル素材生地を使用し、さらに100%循環型経済企業になるという課題に挑戦するスペインの持続可能なファッションブランド、「エコアルフ/ECOALF」の信条です。

エコアルフは普通の人がゴミだと認識するようなペットボトル、タイヤ、コーヒーかすなどの廃棄物を、一流の素材になると見出したユニークなブランド。限りある地球の資源を無駄にしない、次の世代のことを考慮した未来のための製品を生み出します。今、エコアルフが貫くサステナブルな姿勢と未来を見通す目線が注目されています。

 

エコアルフ /ECOALFの商品はECOALF(エコアルフ)公式オンラインストアから購入できます。

 

エコな衣服もデザインや風合いは大切

エコロジーであることに加えて、衣服は魅力的なデザインでなければならないという考えも大切にしています。また使用する生地の大部分はリサイクル素材ですが、着用した人がかゆみを感じてリサイクルTシャツを敬遠してしまわないように、風合いにもこだわりを持ち多くの作業工程を行っています。

割高でも価値が認められる

そのため、ペットボトルからのリサイクル素材で作られた衣類は、ほかのブランドの商品より高額になることがあります。そのことを消費者が受け入れられるかは気になるところです。しかし、エコアルフを支持する人たちは、エコアルフの価値はオーガニック食品のようなものだと捉えているようす。高価であっても、地球の未来にとって(=自分や子どもたちの未来にとって)健康的であるなら、それは価値があるということ。

安い価格で売られている製品の多くが、地球に害を及ぼしている事実を知りながら、それにお金を支払るのか?という問いかけをすれば、地球を浄化する製品に価値があることに気付くことができるでしょう。

海の循環プロジェクト

2015年からはエコアルフ財団を通じて、「Upcycling the Oceansプロジェクト」に取り組んでいます。これは海の環境を破壊するゴミを回収し、最高品質の糸に変え衣類を作ること、世界の他の地域での地位を確立することを目指す革命的なプロジェクト。

この活動では2019年までに3,000人もの漁師と協力し合い、海底から500トンのゴミを取り除いています。さらに現在この「Upcycling the Oceansプロジェクト」はスペインの他、ギリシャ、タイの港でも実行されています。

 

この先駆的なイニシアチブの目的は3つ。

  • 海洋生態系にダメージを与える破片を海から取り除くこと
  • 循環型経済を通じて回収された廃棄物に第二の命を与えること
  • 世界の海洋ごみ問題への意識を高めること

 

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海辺に漂着したゴミ。(素材元:写真AC)

 

革命的ですばらしいプロジェクトですが、現在は複雑で大きな課題に直面しているそう。それは漁船によって回収された廃棄物は、日光、塩分、水にさらされた結果、廃棄物の品質が低く、一貫性がないこと。Ecoalfが設ける基準に従って品質を達成するには、研究開発への投資が不可欠です。

Ecoalfの創設者、ハビエル・ゴエネーチェ氏

ECOALFの創業者はスペイン人のハビエル・ゴエネーチェ氏 /Javier Goyeneche。彼は自分の子ども(アルフレッドくん/ブランド名の由来)の誕生をきっかけに、「私たちは、地球に残す子供たちについて考える必要がある」と考えるようになり、それがエコアルフのブランド構想のひらめきへとつながったそう。

 

ファッション業界は世界で2番目に環境汚染度が高い産業だといわれています。地球の資源は限られているため、今までのやり方に替わる方法を見つける必要があります。「毎秒16トン分の衣類が到着するアジアの埋立地を訪れる機会があったとしたら、あなたは頭を抱えることになるでしょう」とゴエネーチェ氏は言います。

 

プライベートでは13歳と10歳の2児の父。ある日子供が学校で両親は何の仕事をしてるのかという質問をされたとき、「母はテレビで仕事をしていて、父はゴミを拾っています」と答えたそうです(笑)子供ながらに親の仕事を理解している姿が微笑ましく感じるエピソードです。

また彼の愛車は電気自動車で、3年前に購入したBMW i3。普段はごく普通の生活を送っているそうですが、彼曰く、彼の生活の中で持続可能性が最も低いのは、利用する飛行機の数だそう。仕事でスペインからアジアへ行くことが多いときは、複雑な気持ちになるそう。

 

2019年の気候変動サミットCOP25で着用されたエコアルフのTシャツ

2019年12月にスペインのマドリッドで開催されたCOP25 (国連気候変動枠組条約会議)では、エコアルフ社のモットーが刻印された100%リサイクルコットン製Tシャツを2000人のボランティアが着用しました。スペインの環境大臣テレサ・リベーラ女史もエコアルフの衣服を着ていました。また彼女は自分の旅行用バッグもエコアルフを選んでいます。

 

 

 

日本では2020年から展開開始

日本では2019年9月に、アパレル大手三陽商会がスペインのECOALF社とエコアルフ・ジャパン株式会社を合弁会社として設立。2020年3月にアジア初出店となる渋谷店、5月末には2店舗目となる二子玉川店がオープンしました。三陽商会は初年度(2020年度)の出店計画20店舗、2025年度に年間60億円の売上を目指す事業計画を発表しています。  

エコアルフのおもなラインナップ

エコアルフの商品は実店舗かECOALF(エコアルフ)公式オンラインストアなどで購入できます。

  • レディース:Tシャツ、ワンピース、スカート、コート、バッグ、シューズなど
  • メンズ:Tシャツ、パンツ、アウター、スニーカー、バッグ、シューズなど。
  • シューズ:廃棄タイヤから作られたビーチサンダル、ペットボトルからリサイクルした再生素材のスニーカーなど。
  • バッグ・ポーチ:再生ポリエステルやコットンを組み合わせた素材のバッグ、ポーチ、リュックなど。
  • ヨガウェア :ヨガトップス、レギンスなど。
  • キッズ:スウェット、Tシャツ、ベストなど。

 

スペインのシューズブランド「CAMPER /カンペール」とコラボした商品もあります。

 

アパレル産業が抱える課題

アパレル産業と言えば、バーバーリーが42億円相当の売れ残り商品を焼却処分していた問題や、1000人以上が亡くなったラナ・プラザ崩壊事故で知れ渡るようになった劣悪な労働環境問題などが有名。消費者側もファストファッションの流行で「服は毎シーズン買い替えるもの=使い捨てるもの」という意識が広まり、衣類は本来の寿命よりも早いサイクルで人の手を離れる構造が作られていきました。

エコアルフはおもに環境面での持続可能性を追求するブランドですが、従来のファッション産業の常識や構造をひっくり返すようなブランドに成長していくかもしれない予感。

 

日本で展開をしはじめたばかりのスペインブランド「エコアルフ」。これからが楽しみです!

 

 【参考にしたサイト】

Proyecto Upcycling the Oceans

Javier Goyeneche, fundador de Ecoalf, el defensor de la moda eco | Personajesgomi

エコアルフに関するプレスリリース・ニュースリリースのPR TIMES

テレサ・リベラ - Wikipedia

国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25),京都議定書第15回締約国会合(CMP15),パリ協定第2回締約国会合(CMA2)等|外務省

英バーバリー、42億円相当の売れ残り商品を焼却処分 - BBCニュース

ダッカ近郊ビル崩落事故 - Wikipedia

 

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