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【警戒事態宣言5日目】スペイン バルセロナのロックダウン(外出禁止)生活

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スペイン全土でロックダウン(外出禁止)になってから今日で5日目。警戒事態体制が布かせるのスペイン バルセロナの様子、ニュースや世間を見て思うことを記録しておきます。

スペイン警戒事態宣言(estado de alama)の概要はこちらの記事をご覧ください。

【スペイン警戒事態宣言】外出や営業制限の詳細について(新型コロナウイルス感染拡大防止措置) - ばるログ in バルセロナ

 

目まぐるしく状況が変わった1週間

少し前までは日本の学校が一斉休校になって大変だね、自粛モードで不便だねと故郷の人たちのことを気にかけていたのに、いつのまにかスペインにいる自分達の方が心配される立場になりました。ここ数日は状況が目まぐるしく変化し、スペイン政府や日本大使館(領事館)が発信する情報を確認したり、スペインメディアのニュースを追ったり、SNS上で飛び交う現地生活者の反応を観察したりすることに多くの時間を費やしました。一週間前はここまでの状況になると思っていなかったというのが正直なところ。でもその頃から徐々に自分の中の第六感が合図を出してきて、12日(木)は人と会う気になれず予定をキャンセルしました。そして13日(金)にサグラダファミリアが閉鎖され、14日(土)にはスペイン全土で非常警戒措置が布かれることが決定、そこから外出禁止の生活が始まりました。

3月いっぱいの約束や予定はすべてキャンセル、3月末で帰国予定だった日系企業の駐在員やご家族は急きょ帰国日を早め、スペインに留学やワーホリで来ていた人たちも出入国制限になる前に帰国を余儀なくされるなど、自分もまわりもバタバタしていて気が休まらない一週間でした。

しばらくの間、サグラダファミリアも閉鎖されることになりました。

外出禁止のリアルな実態

基本的に15日間は外出禁止で自宅に留まらなければなりません。学校も休校措置が取られているため、語学学校などではオンライン授業に切り替えたところも多い様子。街中のレストランやカフェは一切営業していません。バルでタパスを摘まみながら陽気におしゃべりすることがこの国の文化。スペインでその光景が見られないのはまさに異常です。友人と会うこと、家族の家を訪ねること、夫婦や家族が一緒に散歩することすらも禁止。外出が必要な場合、成人は1人でないといけません。(小さな子どもを家に置いていけない場合や車いすの方・高齢者の方を介助する理由のみ2人での外出が認められています)。街中にはパトカーが巡回しルールを守らず営業している飲食店を取り締まったり、友人と連れ立って出歩く人に注意をしています。このルールを守らない人は罰金または禁錮刑が処されることになっており、3月18日現在、すでに外出制限や陸路国境封鎖に関する警察命令への不服従などで88人が逮捕されています。

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外出は食料品と日用必需品などの買い物、犬の散歩に制限されています。スーパーマーケットの入り口では店内が混雑しないよう入場人数をコントロール。他人と接触を避けるため1メートル以上の間隔を空けて並ぶルールです。しっかりルールを守る様子からは健康な人であっても自分が無症状の感染者であるかもしれないことを認識し、お互いを守ろうとする責任と自覚が伝わってきます。私は普段トイレットペーパーが最後の1ロールになったらようやく買いに行くくらい日用品の備蓄をしておらず、食料品もその日食べるものだけが冷蔵庫に入っている状態でしたが、スペイン国内の感染者が1000人に近づいてきた頃から少しずつ備蓄をはじめました(買い占めではなく「備蓄」ね)。外出禁止が延長されたり、自分自身が体調不良になったりすることも想定し覚悟の上で、お米、パスタ、缶詰、冷凍肉、ペーパー類、サランラップ、生理用品などを1ヵ月間は持ち堪えられるように準備。肉や野菜、乳製品などの生鮮食品は必要な時に必要なだけ買い足しています。

色々と制限されているとはいえ、今は唯一外出が許されるスーパーマーケットへの買い物が程よい気分転換になっています。夫の仕事はコロナの影響で忙しそうではあるものの、以前から時々在宅勤務していたので自宅で仕事するスタイルには慣れており困っている様子はありません。お子様や高齢者のいるご家庭は配慮することが多く大変だとは思いますが、今はネット環境さえ整っていれば仕事、勉強、娯楽、エクササイズなども対応可能な時代。我が家は食事は必ず一緒に取りますが、それ以外の時間はお互いの行動に干渉せず自由に過ごしているため、家で過ごす時間は案外ストレスに感じていません。

経済への影響とスペイン政府の対応

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バルセロナのメイン通りであるグラシア通り(Passeig d Gracia)には高級ブランドショップが立ち並んでいますが、商業施設は営業禁止。いくつかの店舗では商品がすべて撤去されています。 防犯対策で取られている措置だと思いますが、数日前まで華やかに賑わっていたグラシア通りがゴーストタウンみたいでこれまた異様な光景です。スペイン中央政府はコロナウイルスの感染拡大防止措置に最大2000億ユーロ(約23兆円)の財政出動を発表。これはスペインGDPの約20%分。コロナウイルスによる経済的影響を受けた企業への支援(企業が労働者の首切りをしないように対策)、生活困窮者もしくはコロナウイルスの影響で収入が減った市民に対する一か月間の住宅ローン返済猶予(家賃の支払猶予は明記されていない)、ワクチン研究開発の資金などに当てられる予定です。

企業の真価が見える時

スペイン大手のグローバル企業Inditex(ZARAを擁するグループ)は、スペイン国内の繊維工場で医療用防護服の製造を行う準備をはじめました。また同グループが保有する物流拠点を中国からの支援物資を受け入れるために政府に提供していることも明らかにしています。また世界最大の高級ブランドグループLVHM(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)は香水の製造ラインで手指用消毒製品を製造すると発表。フランス全土で不足している除菌グッズの需要に応える姿勢を見せています。

大きな企業ほど動きが遅いイメージを持っていましたが、これらのニュースを聞き世界的な有名企業の対応の早さに感心しました。一時的にブランドの利益が失われることは確実ですが、社会が持続されてこそのブランドでありビジネスです。生産事業を続けることは従業員を雇い続けるためにも大切。企業がもつ設備や人的リソース、資金を使って、社会のために今できることは何かを問うこと。重大な決断を潔く行うこと。ブランドや企業の価値というのは売り上げや利益だけでは測りきれず、変化し続ける社会にとって必要な存在であり続けることがこれからは求められるのではないかと思います。 

陽気さを忘れないスペイン人

今後の世界がどうなるのかは誰にもわからず先が見えない中でも、SNSを見ているとユーモア溢れる素敵なスペイン人、スペイン在住者がたくさんいることに心が救われます。スペインで生活している今この時に、このような状況に直面することは、人生を楽しむコツを心得よ、どんな状況であっても今を楽しむ術を学ぶ時ぞと言われているような、そんな気がします。

  • ベランダからのピアノ演奏に隣人がサックスで参加

  • マンションのベランダからみんなでエクササイズする人たち

  • ゴミ捨てに行く時にふざけたくなってしまった人(これは警察から注意された様子)

  • どうしてもパーティしたい人たち 

 

こんな時だからこそ読みたい本

最後に、外出禁止で人と会うことや外食ができずいつもより時間に余裕があるこの時期におすすめの本をご紹介します。

▼氾濫する情報に惑わされず、冷静に事実を見極めるためにはどうすればよいのか。統計データを用いて世界を正しく認識するコツを教えてくれる本。医師であり衛生学者である著者による語りは、わかりやすく説得力に満ちている。 

 

▼ウイルスは生物なのか、無生物なのか。一体何者なのかを問う本。恐ろしく美しい生命の謎をわかりやすい語り口で教えてくれる。分子生物学者の福岡伸一先生による著書。