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【カサ・ビセンス Casa Vicens】レゴみたいな外観と植物モチーフがかわいいガウディ初期建築

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カサ・ビセンス/Casa Vicensは、若きアントニ・ガウディが最初に手掛けた住宅。レゴブロックのような可愛い外観、空間に散りばめられた自然のモチーフ、この家に隠された秘密を発見するたびにワクワクする、そんな建築です。

 

ガウディが最初に手がけた住宅「カサ・ビセンス」

19世紀の終わり、株式ブローカーのマヌエル・ビセンス氏は、若きガウディに夏の別荘の建築を依頼しました。それが「カサ・ビセンス/Casa Vicens」です。当時大学を卒業したばかりだったガウディですが、すでに理想の住宅について様々な構想を描いていました。自然とつながり機能的であると同時に、美しい外観であることを住宅に望んでいたガウディ。マヌエル・ビセンスの注文は、そんなガウディのアイデアを現場で実践する絶好の機会でした。

 

カサ・ビセンスは、1883年から1885年のあいだに建てられました。当時の時代を先取りする革新的な要素に満ちていましたが、独創的で大胆な建物であることは100年以上経った今でも変わりませんね。

 

数年後に家の所有者が変わり、新しい住人のニーズから1925年にはじめてカサ・ビセンスは拡張されました。その後も度々増改築が行われたり、所有者が変わったりしましたが、2005年にユネスコ世界遺産に認定されました。

 

現在の所有者はアンドラ公国の銀行「MoraBanc」

2007年にカサ・ビセンスは前の所有者から売却に出されましたが、3500万€という高値だったため7年間ものあいだ買い手が付きませんでした。そして2014年に現在の所有者の手に渡りました。購入価格は公表されていませんが、3500万€未満で取引されたと思われています。

現在の所有者は「MoraBanc/モラバンク」という銀行。しかもスペインの銀行ではなく、アンドラというスペインとフランスの間にある小国の銀行です。モラバンクはカサ・ビセンスを博物館として公開するため大規模修復し、2017年11月から一般向けに公開されるようになりました。

 

花咲き植物が踊るガウディ初期作品。晩年作品との違いは?

カサ・ビセンスを建設する前にガウディがこの場所を訪れたとき、地面が黄色の花で覆われていたといいます。また緑豊かなヤシの木も生えていたのだそう。ガウディはそこで目にした黄色の花をタイルに描き建物正面や玄関ホールを彩り、ヤシの葉をモチーフに鉄を鋳造しフェンスや家の門の格子を飾りました。

【玄関ホール/黄色い花のセラミックタイル】

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私は玄関ホールが一番わくわくしました。黄色と緑色の組み合わせを目にした瞬間、元気がみなぎってきました!ガウディはいつも自然をインスピレーションの源としていますが、初期の建築であるカサ・ビセンスでもすでにその特徴がみられます。玄関ホールは建物の外部と内部をつなぐ重要な場所と考えられていたそうです。

【ヤシの木の葉やお花をモチーフにした鉄製フェンス】


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上の写真左はヤシの木の葉をモチーフにした鉄柵。建物のフェンスに使われています。写真右は2階のテラス。奥には庭に植えられたヤシの木が見えます。その場所に存在する植物を摸した要素を建築に取り入れることで、自然物と人工物のつながりを生み出しています。


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花をモチーフにした門やフェンスもあります。写真左は玄関ホールに入る門。写真右が屋上のフェンスです。鉄という無機質な素材でもお花模様のフェンスにするとこんなにも柔らかい印象になるんだなぁと見惚れてしまいました。 

【エキゾチックな雰囲気の喫煙ルーム】

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次に好きだったのはこちらの喫煙室。ちょっと不思議な形の空間と賑やかで個性的な装飾に目を惹かれました。こういった喫煙室は19世紀ヨーロッパのブルジョワ階級の家で流行していたそうです。アラブ風の装飾は砂漠の夜を、天井の濃い青色は空を連想させます。モカラベ装飾はナツメヤシの実を豊富につけたヤシの葉を再現しているのだとか。小さな東洋のオアシスのようなこの空間で、マヌエル・ビセンス氏は友人たちと喫煙しながら語らっていたんですね。こんなプライベート空間羨ましすぎる!

【晩年のガウディ建築との違いはアレが多用されている点】

カサ・ビセンスがガウディのほかの住宅建築と大きく違う点は「直線」が多用されていること。晩年のガウディが設計した集合住宅カサ・バトリョやカサ・ミラには「曲線」が多く使われていますが、初期作品であるカサ・ビセンスはとても直線的です。

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写真は左からカサ・バトリョ、カサ・ミラ、カサ・ビセンス。こうやって並べて対比すると、波打つような曲線が特徴的な左2つの建築と、右の直線的なカサ・ビセンスの違いがよくわかる。

 

カサ・ビセンスの見学コース

カサ・ビセンスの一般見学は多言語オーディオ・ガイド対応です。入場時に案内される指定リンクにスマホからアクセスすると、日本語のオーディオ・ガイドを選択できます。訪問時にはぜひイヤホンを持参してください!私はイヤホンを忘れたので、スマホの受話口からオーディオ・ガイドを聞くことになり少し疲れました。笑

  • 地上階:玄関ホール、人を迎えるダイニングルーム、ロッジア、喫煙室
  • 2階:家族の寝室や浴室、テラスなどの生活空間
  • 3階:観光客向けの視聴覚プログラムや、ガウディ住宅の模型展示スペース(居住当時は使用人の部屋として使用されていたそう)
  • 屋上:歩いて見学可能
  • 地下:ギフトショップ、トイレ
  • 庭園:ホフマンのカフェ併設

 

バルセロナの人気パティスリ「Hofmann/ホフマン」のカフェが併設

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カサ・ビセンスの庭には、バルセロナの人気パティスリー「Hofmann/ホフマン」のカフェが併設されています。見学後にコーヒーやカヴァワインをいただいたり、お土産に焼き菓子を購入することができます(※当局の規制により飲食店の営業時間や定員に制限がかかることがあります)。ホフマンは「マスカルポーネ・クロワッサン」がおいしい!

【Hofmann】バルセロナで大人気!ホフマンのマスカルポーネ・クロワッサン - ばるログ in バルセロナ

 

カサ・ビセンスの入場料

  • 一般入場料   €16
  • 割引対象者(*)€14
  • バルセロナ図書館カード保有者 €12
  • ガイド付きツアー追加料金   €4

(*):12-25歳、65歳以上、大家族またはひとり親家庭、機能的多様性のある方

 

カサ・ビセンスの基本情報

  • 住所:Carrer de les Carolines, 20, 08012 Barcelona
  • 最寄り駅:地下鉄Fontana駅・Lesseps駅 (ともにL3線) から4分
  • 営業時間:10月5日~3月31日(金曜15:00~19:00、土日10:00~19:00、12月25日と1月6日は休館)※当局の規制により営業時間変更の可能性があるため訪問前にオフィシャルサイトをご確認ください。
  • WEBサイト:https://casavicens.org/

 

▼参考にしたサイト

https://casavicens.org/

https://es.wikipedia.org/wiki/Casa_Vicens

Casa Vicens, la primera vivienda de Gaudí, abrirá el próximo otoño | Cataluña | EL PAÍS

 

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