バルセロナの街を歩いてると路上で時々見かける銅製のプレート。これが店前にあるのは長年バルセロナの街で営業し続けてきたお店に対するバルセロナ市からの謝意の証。
この写真のようなプレートをバルセロナの街のいくつかの場所で見つけることができます。ここには"AJUNTAMENT DE BARCELONA EN RECONEIXEMENT”, "ALS SEUS ANYS DE SERVEI A LA CIUTAT" と刻まれています。カタルーニャ語で「この地でのあなたの長年にわたる奉仕に、バルセロナ市より謝意を込めて」の意。
このプレートがある場所はおもに古い商店の前です。プレートをよく見てみると、様々な商業を表すアイコンが描かれていることに気づくでしょう。
プレートの設置はバルセロナ・オリンピック後の1993年から始まったそうで、設置の条件は「同じ場所で50年以上営業を続けていること」、「外観の手入れがされ元来の特徴を保持していること」など。
私が写真を撮ったのは創業90年以上の老舗ケーキ屋さんの「MAURI」の前。バルセロナの人たちから時代が変わっても愛され続けているお店の印でもあります。
しかし、中にはお店が潰れてしまい記念のプレートだけが路上に残っている場所もあります。
かつてはそこに帽子屋、書店、仕立て屋、食料品店、金物屋などが存在していました。家賃の上昇、後継者不足での廃業、都市計画による強制移転など様々な理由で、今は違う店になったり建物自体が変わってしまったり。
隣人や昔のお客さんの記憶の中と、路上のプレートだけに痕跡が残され、消え去った過去の店屋たち。
ここ最近はバルセロナ中心地のテナント空室が目立ちます。私自身、数か月前までそこにあったお店が何だったのか思い出せないことがしばしばあって驚いてしまう!毎日のようにその道を通って目にしていたのに、人の記憶(とくに私の記憶力…)って本当に頼りなくて儚いものだなぁとつくづく感じる今日この頃。
バルセロナの街を活気づけてくれていた商店やレストランが厳しい規制の繰り返しでやむなく閉まってしまうのは本当に悲しい。当たり前にそこにあった大好きなお店たちの閉業に対して私はなにも救済できないけれど、この時代のこの瞬間バルセロナにいるのも何かのご縁。せめてしっかりと記憶にとどめておきたいと思います。記憶は儚いのでブログにもね。
▼参考にした記事:
Ruta por la huella olvidada de los comercios emblemáticos desaparecidos de Barcelona
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