ガウディ建築「カサ・ミラ」。バルセロナの地元の人からは「ラ・ペドレラ(意味:石採石場、石切り場)」と呼ばれています。なぜそう呼ばれるようになったのか?石切り場ってどんな場所なのか?などの疑問に答えます。
ガウディが設計したミラ夫妻の邸宅兼集合住宅「カサ・ミラ」
1984年に他のガウディ作品群とともにユネスコ世界遺産に登録された「カサ・ミラ」。バルセロナの高級ブランドショップが並ぶグラシア通り(Passeig d Gracia)に所在します。
カサ・ミラは、1905年に結婚した実業家のペレ・ミラ氏とその妻が住まう邸宅として、ガウディに依頼をした建築です。カサミラの工事はバルセロナ市の建築許可を得た後、1906年2月2日にはじまりました。メインフロアは夫妻の住居として、その他のフロアは賃貸住居として、集合住宅の形で設計されました。
嘲笑され付けられたあだ名は「ラ・ペドレラ=採石場」
カサ・ミラが建設された当時、この斬新な建築に多くの人が関心を寄せましたが、柱の一部がグラシア通りの歩道に迫り出していたり、屋上の高さが規定最大値を超えていたりと、その時代バルセロナ市が設けていた建築基準に則っていなかったことが問題になりました。(最終的にはカサミラが記念碑的な建築であると認められ、柱を削られることはありませんでした)
今ではカサ・ミラの直線部分を持たない波打つような外観を愛すべき特徴として多くの人が受け入れていますが、当時は周辺の街並みと調和しないという意見が多く物議を醸しました。醜い外観とみなされて付けられたあだ名は「ラ・ペドレラ La Pedrera」。採石場、石切場という意味のニックネームを付けられてしまいました。
今でもバルセロナに住む人はカサ・ミラとは呼ばずに、親しみを込めて「ラ・ペドレラ」と呼ぶことが多いです。(カサ・ミラでは通じなかったタクシー運転手もいました)
採石場(石切場)ってどんな場所?
…と、ここまで書いたカサ・ミラがバルセロナで「ラ・ペドレラ」と呼ばれる所以のエピソードはけっこう有名で、観光ガイドブックや旅行ブログでもよく紹介されているのでご存じの方が多いと思います。私も「カサ・ミラはペドレラって呼ばれているのね~」と知った気になっていましたが、そう言えば、そもそも「ペドレラ=採石場、石切場」がどんな所なのか知らなかったので調べてみました。
▼採石場、石切り場っていうのがどんな場所か分からなかったので、イメージがわかる写真を探してみました。
…なるほど、これが採石場。おもに花崗岩や石灰石などの石材を採る場所だそうです。大型の石材を産する場合に石切場とも呼ばれます。Wikipediaさんによると、日本では採石場跡が特撮ドラマの撮影現場などに使われることがあるそうです。
たしかにカサ・ミラはペドレラ=採石場に似ている!
…なるほど。何となく、段状になった石切り場がカサミラの曲線を描く形に見えなくもありません。削られた岩肌がバルコニーの凹みに似ているような気もします。石の質感や色味はカサミラの壁面とよく相似していますね。
誰が最初にカサ・ミラのことを「ラ・ペドレラ=採石場」なんて呼んだのかはわかりませんが、上手く例えたもんだなと思います。
採石場の様子を知らないなんて常識知らずだったかもしれませんが、調べてみたら納得したので解決!私のように採石場を見たことない人がもしいたら、この情報がお役に立てば幸いです。
参考サイト
https://www.lapedrera.com/es/la-pedrera/historia-pedrera
https://pedrerainedita.lapedrera.com/es/aportaciones/la-construccion-de-la-casa-mila
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